乳がん術後ケアコラム
「陰ヨガ」体験してみませんか?
2021.9.30「陰ヨガ」体験してみませんか?
乳がん術後、術創や治療が落ち着いた頃、医療従事者が患者さんへ勧めていることの一つに「運動」があります。
「運動」は手軽にできるウォーキング、全身運動の水泳等ありますが、中でも人気なのは「ヨガ」です。
一般的に知られている「ヨガ」は「陽ヨガ」といわれるもので、ポーズのキープ時間は長くて30秒程。繰り返し実施することで、運動量が多くなり、筋力アップの効果が見込めます。
今回はヨガの中でも2000年頃から人気となっている「YIN YOGA(陰ヨガ)」をご紹介します。
「陰ヨガ」の特長は、ひとつのポーズを3分から5分、深い呼吸とともにゆっくりと保持し、筋肉を完全にリラックスして行います。また、長い時間ポーズを行なうことで体の奥深くの関節の周りにある結合組織を伸ばし、体の柔軟性を高めていきます。
「陰ヨガ」を始める前に、自分の心を落ち着かせることができる時間・・・例えば、携帯電話のスイッチを切ったままにすることができる時間を探してください。
また、事前に毛布・枕・バスタオルなどがあればご用意ください。さらに、落ち着いた音楽を流したり、お好きなアロマキャンドルやお香を焚いたりすると、より気持ちを落ち着かせることができます。
陰ヨガ実施初期は、ひとつのポーズを3~5分維持するのではなく、短い時間(約2分位)から始めてみましょう。
その際、自分の体がどのように反応するかをしっかり感じてください。ポーズを長く保持して、元の位置に戻す際はゆっくりと行いましょう。筋肉にできるだけ負担をかけないで、呼吸と体の感覚をしっかり意識してください。
それではいくつかのポーズをご紹介します。
ポーズ1
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こちらのポーズは腰痛や膝痛がある方は無理をせず行ってください。また、膝が直接床にあたる方は、膝の部分に毛布やバスタオルを置くとよいでしょう。その際は滑らないように注意して実施してください。
まず正座し、そのあと膝を肩幅より開き、ご自分が無理のない状態を保ちます。そこからゆっくりと上半身を前に倒し、左肩と頭が床または毛布の上にくるまで上半身を右に回転させます。右腕は顔を支えたり、頭の上に置いたりします。左側でも同じように実施します。
ポーズ2
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お腹を下にして横になり、肘を肩の下に動かし、前腕を前に出します。その時、手のひらは床に触れるようにします。胸を開き、背骨をゆっくりと後ろに曲げます。頭が前に沈まないように、額をクッションや折り畳まれた毛布などの上に置いても良いでしょう。特に腰に強い圧迫を感じる場合は、足幅をお尻幅よりも少し広くしてください。このポーズをキープした後、しばらくの間、お腹を下にしたまま横になってリラックスしてください。
ポーズ3
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こちらのポーズは腰痛や膝痛がある方は無理をせず行ってください。また、膝が直接床にあたる方は、膝の部分に毛布やバスタオルを置くとよいでしょう。その際は滑らないように注意して実施してください。
膝をつき、膝の真上にくるようにお尻の位置を高く上げます。額が床に触れるまで手をゆっくりと前方に出し、胸骨を床につけるように伸ばします。
ポーズ4
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床に座り、足を延ばして前屈します。腰痛などある場合は腰部をまっすぐに保ち、背中の上部のみ丸めます。その際は、抱き枕や丸めた毛布などを膝の上に置き、額をつけます。また辛い場合は足をお尻の幅に広げて、つま先を外側や内側に倒してください。しばらくキープした後、手のひらを空に向けて開いていき、仰向けになります。
ポーズ5
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座った状態で足の裏を互いに合わせ、かかとをお尻に近づけます。抱き枕・丸めた毛布を背中に置き、その上にゆっくりと横になり、腕を体の横、肩の高さ、または頭の上でリラックスさせます。足が開きすぎてしんどい方はバスタオルや厚い本などを両方の膝または太ももの下に入れてください。キープした後、仰向けになってリラックスします。
ポーズ6
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仰向けになって、腕は左右に広げ、股関節と膝関節が直角になるようにし、左膝が床に触れるまで足をゆっくりと左に倒します。反対側も実施してください。
ポーズ7
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仰向けに寝転がるのが難しい場合は、抱き枕または丸めた毛布を膝の下に入れることで腰の負担を和らげます。体がさらに冷えないように、場合によっては毛布を掛けてください。足をお尻の幅に広げ、腕を体の横に置き、手は手のひらを上に開いたり、手をお腹に置いたりしても構いません。呼吸を止めず、息を吐くたびに自分が地面に沈んでいくのを想像してみてください。全身、特にあごと顔をリラックスさせ、できるだけ長く続けてください。
いかがでしたでしょうか。
「陽ヨガ」「陰ヨガ」の考え方は中国の思想の「陰陽」をもとに考えられているといわれています。
世の中のあらゆる物は陰陽に分別されています。例えば、天と地・太陽と月・上下などがあり、天と地でいうなら天は陽、地は陰になります。私達人間は天と地の真ん中にいることでバランスをとっています。陰か陽、どちらかに偏るのではなく、それぞれを補い合うことで、ヨガの効果を最大化することができます。
ストレスが溜まり、落ち着かないときは陰ヨガ、運動不足と感じるときは陽ヨガを意識するなど、バランスを意識して行うことが、心身の健康を保つ上で大切です。
是非お試しください。
Amoena Worldwideより一部引用
- この記事を書いた人
- 宮浦@ピンクリボンアドバイザー
2012年よりアモエナ製品担当。同年より日本乳癌学会学術総会を毎年聴講。また、ピンクリボンアドバイザー制度創設2013年から受験。同年初級、2014年中級、2016年上級を取得(すべて第一期)。